岐路に立つヘラクレス
米兵、2度目のイラク出動拒否 反戦を主張 CNN.co.jp - USA
戦場、特に市街戦は地獄だ。(と聞く)
相手が、正規兵でなく民兵ならば、なおさらだ。(と思う)
自分を殺す可能性があるものは、女だろうが子供だろうが、殺さなければ次の瞬間自分が殺されてしまう。
建物の窓、瓦礫の影、曲がり角、すべてに死が潜んでいる。
膨大な手続きを経るとはいえ、反戦の意思があれば、良心的拒否ができるという選択肢があるのは、民主国家だからこそだ。
私は、「反戦こそが正しい道だ」とか「反戦こそが勇気だ」という教育を受けてきた。
が、人類の歴史で見れば、どうもそうではないらしい。
岐路に立つヘラクレス アンニバレ・カラッチ「Web Gallery of Aer」
「岐路に立つヘラクレス」解説mariのページさん
「美徳」と「悪徳」を擬人化した二人の立ち姿の女性の間で英雄ヘラクレスがどちらの道を歩むか、迷っている。
「美徳」が示すのは、岩だらけの険しい道。
「悪徳」が示すのは、陽の当たる牧場に至り、池では裸の男女が遊び戯れている場所。
結局、ヘラクレスは険しい道を行き、神話となった活躍を見せる。
この趣旨のものは、よく好まれたモチーフで、様々なパターンが残っている。
特に子供の教育の際に、「勉強しなさい」「体を鍛えなさい」といったことを伝えるために用いられた。
映画ブラックホークダウンでは、戦場から一時基地に帰還し、再出発する場面で、これとにたようなことが演出される。
若い将校が「あそこへ戻れば必ず殺される」と行くことを拒否。上官は無理強いをしないが、車両が発進しそうになると若い兵士は思い直し、車両に乗る。
戦争はやるもんじゃない。戦争を経験した兵士の中には40年以上も毎晩戦争の夢を見てうなされる人もいるという。人を殺すことも、人に殺されることも、経験せずにすむのならばそのほうがいい。
CNNで取り上げられている兵士が臆病者だとは思わないし(技術兵ならなおさら)、軍法会議にかける側の方もひどいとは思わない。
ただ、ヘラクレスの絵の例えでいうと、道を選択するまでもなく我々は「悪徳」にいる。アフリカで何十年も内戦を続けているようなところに住んでいる人々は「美徳」にいることになる。実際のところ、「悪徳」側の方には、富と長寿、平和、そして堕落がある。「美徳」には、困難、死、苦痛がある。
なぜ、「美徳」は、困難を指し示すのか。ヘラクレスは「美徳」の道を進み英雄となったが、実際のところ「美徳」に進んで得られるリターンなど、ない。皆無だ。
しかし、すべての人が、危険な地帯に足を踏み入れるのを拒んでしまえば、元も子もなくなる。
「悪徳」にいる私が、「美徳」に進まないからといって他人を責めることは出来ない。
だが、命を落とすかもしれない危険な場所で活動する人々、「悪徳」にいる私たちに代わって、リターンのない「美徳」に進んでいる人々。彼らに敬意を送りたい。私にはそれしか出来ない。


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